越後の沢登り

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越後の沢登り

越後三山の沢

越後三山(魚沼三山)の沢は、越後駒ヶ岳・中ノ岳・八海山を囲む流域に広がる。裏三山として扱われる荒沢岳周辺も、共通の流域を持ち沢の性質も近いので今回は「越後三山の沢」に含めて表記している。その懐に刻まれた沢は、雪国特有の険しくも瑞々しい自然が織りなすスケール感と美しさを兼ね備え、沢登りの聖地の1つと言えるだろう。さらに、里の暮らしのすぐそばにある山域ゆえに、様々な背景考察ができるのも面白い。かつて金銀を求めて山師が入った歴史や、八海山神社の龍神信仰、令和のご時世まで未踏を残し続けた三国川黒又沢流域とそこに眠る近代開発の痕跡など、まだまだ調査は終わらない。

北ノ又川流域
北ノ又川本流2020/8/10~12 体3攀2悪2藪2水3★8
文句なしの茗溪。越後でも最大規模の集水域を持ち、渓相のスケール感も一級品だ。それでいて極端に難しい地形は出てこないので癒しの沢旅ができる。雪渓が残りやすい点と永年禁漁区であることに注意。
グミ沢左俣2023/10/14
平石沢の下降で利用。目立った難所は無く、景色も良く、越後らしい開けた渓相の中を歩けるためこの辺の沢の下降路として非常に優秀な1本。
蛇子沢中俣遡行~中俣支流下降~右俣遡行2023/11/3~4 体3攀3悪3藪2水3★10
荒沢岳カルデラが生んだ奇景、右俣~中俣出合間の柱状節理ゴルジュは必見。ゴルジュを越えると爽やか過ぎる中俣大滝。右俣は雪渓下の未知(快適な小滝群)を解明完了した思い出の1本。
芝沢左岐沢右沢の右(蒼龍ノ滝 登攀)2024/9/16 体4攀3悪3藪0水3★10
左岐沢右沢の遡行内容だけでも面白いが、増水時は蒼龍ノ滝登攀もおすすめだ。蒼龍ノ滝は遠望するとまさに龍が輝きながら昇るような光景で、実際に登ると非常に快適な連瀑帯が続いている。
下荒沢 清七沢遡行・ナラ沢右俣下降2026/9/19 体3攀3悪3藪2水2★8
清七沢の雪渓下の未知を明かした思い出の1本。ゴルジュは比較的開けていて、明るい爽やか渓だ。ナラ沢は癖のあるクライムダウンが出てくるため下降はグミ沢の方が快適だろう。
佐梨川流域
ほそど渓谷2021/8/29 体2攀2悪0藪0水4★5
ゴルジュの事を「細戸」と呼ぶ粋な谷がある。東屋から見える区間は、ほそど渓谷という隠れ景勝地になっているが存在その正体は佐梨川本流ゴルジュである。
小チョウナ沢2026/9/5 体2攀2悪2藪3水2★4
佐梨川流域で気軽に日帰りできる沢としては楽しいが、渓相としては「途中までは良い」程度だろうか…。以降は倒木が目だち始めて惜しい。
桑ノ木沢右俣(家の串沢)2026/10/3 体2攀3悪3藪3水2★5
越後駒ヶ岳北面の奥壁が黒々とそそり立つ様は圧巻。雪渓は非常に残りやすい。本流は湧水帯を越えると水涸れだが、右俣は上部までギリギリ水流がある。周辺の沢は沢登りよりも岩登りの印象に近い。
水無川流域
水無川真沢秡川遡行2021/9/25~26 体2攀2悪3藪2水2★6
トラディショナルな越後沢登りの代表格。いわゆる越後的な大変さと美しさを丁度良いバランスで楽しめる、誰もが一度は目標にするような茗溪。
笹花沢遡行~高倉沢下降2023/7/2 体2攀2悪2藪1水2★5
笹花沢は下山に難ありな部分を除けば開放的なスラブ滝が続く初心者でも楽しめる沢。笹花沢自体も下降路として使える。高倉沢は上部は滝が多いが下部は比較的ゴーロが多く、歩きやすい。
オツルミズ沢2023/9/2~3 体2攀2悪2藪1水2★6
越後の沢の悪い部分をカットして、快適爽快な部分だけ詰め込んだ奇跡のような沢。人気沢なのでスレてるが、それでもなお誰もが認める茗溪。林道から直入渓が楽しい。
水無川御月山沢遡行〜真沢祓川下降〜北沢右俣中沢遡行〜左沢下降2024/10/5~6 体4攀3悪3藪1水2★9
水無川本流のゴルジュ区間(袂分ちのゴルジュ)は雪渓が消えた後なら内部遡行が楽しい。御月山沢は常に連瀑かゴルジュ状で、地形図から想像するよりスラブ要素は少ない。北沢右俣は直登可能な滝が続き、登り応えのあるゴルジュを擁する。
大沢中俣中沢遡行~左俣下降2024/11/17 体2攀1悪1藪1水0★4
秋に丁度よい小水量のスラブ沢。
西不動沢右俣遡行~笹花沢下降2025/10/4
西不動沢は水無川の核心部が一望できる立地にあり、登りながら振り返ると景観が良い。滝はややヌメるが爽快だ。笹花沢は水無川流域参照。
モチガハナ沢右俣(ブナツルネ沢)2025/10/5
登り応えのある滝も、直登不可で巻きもやや大変な滝も出てきて忙しい沢だが、かなり早い段階で水が涸れてしまう。ベースを張って西不動沢右俣遡行~笹花沢下降の翌日に遡行した。
モチガハナ沢ブナヒラ沢遡行・大雪橋沢(仮称)右俣下降2025/11/8 体2攀2悪3藪2水1★8
紅葉の時期に超オススメの1本。鎌状の不思議な地形の中、小水量ゴルジュを進みスラブからの沢パイン等、秋にやるべき沢遊びの全ての要素が入っている秀渓。
水無川西沢右沢遡行&本谷遡行2026/10/17~18 体2攀3悪4藪5水2★8
水無川流域でも非常にマイナーな燻し銀。両岸スラブに挟まれたゴルジュは雪渓が残りやすく、ダイナミックな地形だ。上部は面倒な滝が続き、藪漕ぎも長いが漕ぐしかない。水無川マニアにおすすめ。
三国川流域
栃ノ木沢下部(敗退)2022/10/9
同行者が何しても登れず敗退。2024年、たもしまと再訪し無事に遡行済み。
黒又沢右滝上沢遡行~台所滝沢下降2023/9/23~24 体4攀5悪4藪1水2★10
雪渓下の未知を明かした初登で、夫婦としての顔合わせ山行になった思い出の1本。滝とゴルジュの連続で常に登り応えはありながらも大巻きせずに突破可能な地形の妙を楽しめる。
栃ノ木沢本流~コブシ沢~檜倉沢上部遡行2024/9/14~15 体4攀4悪4藪3水3★10
栃ノ木沢本流は立派なゴルジュと登れる滝を擁し、荒れた径路を歩くよりも充実するため下部からの入渓がおすすめだ。コブシ沢は明るい越後の渓相。檜倉沢上部(二俣より上流部)は殆ど水が無く、涸れたゴルジュに小悪い滝が続く。
黒又沢左滝上沢遡行~五龍沢下降2026/10/4~5 体2攀3悪4藪2水2★8
左滝上沢はゴルジュの右滝上沢と双璧をなす、スラブ&大滝の爽快な沢。極端に難しい地形は無い。五龍沢はロケーションも良く滝も多く、下り応えがあった。登っても楽しい沢だろう。
黒又沢檜倉沢~台嵓沢右ルンゼ~栃ノ木沢コウガイ沢2026/10/9~12 体4攀4悪4藪3水3★10
2024年まで未踏だった越後三山最後の砦。ゴルジュと滝の圧倒的なスケール感、意外にも快適に登れてしまう地形、鉱山跡のロマン等、越後の沢登りの魅力をこれ以上なく凝縮したような沢だ。コウガイ沢は快適に歩ける区間が長く下降向き。
中ノ岐川左岸流域
滝沢遡行~花降沢下降2023/7/29~30 体2攀2悪3藪2水2★7
どちらの沢も明るく開放的で滝が多く、遡行で行った方が楽しいだろう。ナメ、滝、ゴルジュ、スラブ滝など色々出てきて全く飽きさせない渓相。しいて言うなら滝沢の方が遡行向きだ。
平石沢タキ沢遡行~グミ沢下降2023/10/14 体2攀4悪3藪2水2★8
平石沢タキ沢は、下部はゴルジュで登り応えがあり上部はすり鉢状に広がるスラブの側壁が見事。雪渓が残りやすいため秋の日帰り山行におすすめだ。グミ沢左俣は北ノ又川流域参照。

奥只見周辺の沢

秘境の趣を深く残す深山幽谷の水郷、奥只見。その周辺に広がる沢は、越後の沢らしさに加えてブナの森と静かな山奥感も楽しめる。新潟県と福島県の県境に近い只見川の上流域で、日本有数の豪雪地帯であり、巨大な水源地でもある。奥只見湖を起点に只見川の電源開発の物語にも触れられる。特に紅葉の時期は山々が美しく彩られ、スラブ登りで遊ぶのも非常に楽しい山域だ。

只見川流域
白石沢スラブ2020/10/31 体2攀1悪0藪2水1★9
紅葉スラブ狩りの聖地の1つ。日本最大級の水平投影面積を誇る一枚岩が紅葉に彩られた景色は奥只見エリアの心象風景と言えるだろう。
仕入沢遡行・二俣ノ沢下降2024/11/4 体2攀2悪3藪2水2★6
全体的に渓相が良く沢旅ルートとして楽しいが、結構濡れるので温かい時期に行った方が良さそう。二俣ノ沢は滝があまり無く下りやすいがかなりヌメる。時期的な問題もあるかもしれない。

守門の沢

守門岳は、冬は東洋一の雪庇とも謳われる新潟県が誇る豪雪の山だ。その懐には、ブナの森に抱かれた知る人ぞ知る名渓が眠っている。猛烈な雪融けがかつて火山だった山体を削り、不思議で興味深い地形をいくつも形成している。渓谷には、美しいナメ床、歪な側壁、豪快な滝、ゴルジュ、手強い草付きなど個性豊かな要素が散らばる。

破間川流域
上祝沢下降~大雲沢下部探勝2019/7/27
上祝沢(林道より下部)は適度な小滝があり、守門川との出合付近はグリーンタフの鮮やかなナメが美しい。大雲沢は取水堰堤の先に残る雪渓までの区間を探勝。ここまでなら難所は無い。
エラオトシ沢 下部探勝2019/8/31
大雲沢のスケール感を少しコンパクトにし、岩を白っぽく明るくしたような渓相。周辺の沢と比較して水質が良く、クリスタルブルーに澄んでいる。上部ゴルジュに遡行だと大巻きになる滝がある。
白禿沢遡行~ゼンダナ沢下降2019/9/23 体2攀2悪2藪3水2★5
守門黒姫を源頭に持つ、スラビーな側壁が目立つ沢。地質の境界を挟んで流れるため、遡下降で繋ぐと違う雰囲気を味わえて面白い。少しボサボサ感は否めないが、守門好きなら訪れる価値ある1本。
大雲沢黄蓮ハゲ沢遡行~上祝沢滝ノ倉沢下降2024/9/1 体2攀3悪2藪2水2★7
大雲沢本流は、火山系ゴルジュと神秘的なベールのような滝がかかる側壁

越後の里山

越後の里山は、沢登りの対象として全く侮れないディープでダークなスポットだ。越後三山周辺を花形と言うなれば、越後の里山は派手さは無くてもしっかり悪くて癖があるような沢を多く内包する。松川川、宇田沢川、三国川、佐梨川、魚野川、破間川、羽根川と、各里川ごとに個性が違う。魚沼界隈を中心に、集落のすぐ裏にある知られざる沢をリストアップ中。五頭山塊の沢は1本しか経験が無いため、いったんこの項に混ぜておく。いずれも、標高が低い分早い時期から遡行可能な場合が多いので、越後の沢トレにもおすすめだ。

五頭山塊 大荒川流域
西小倉沢2022/6/5 体2攀2悪2藪2水1★4
五頭山の沢といえばまずはこれ、というポピュラーな沢。豪雪の年でも6月月から遊べる。ナメ、小滝、ロープ出す滝など内容はまずまず良い。
松川川流域
松川川本沢遡行~ぬりっこ沢下降2024/6/8 体2攀2悪2藪2水1★5
年によるだろうが、6月くらいから雪渓が落ち着き始めて遡行可能になる点でシーズン初めに最適。
宇田沢川流域
大名木沢遡行~小川沢左俣右沢下降2024/6/9 体2攀2悪1藪3水1★4
・大名木沢
正直に忖度なく言うと、ボサ沢かもしれない…。
・小川沢左俣右沢 三国川流域参照
三国川流域
小川沢左俣右沢2024/6/9
下降で使用。三国川流域の風格を一応は持った越後らしい渓相が出てくる。下部に天然の山葵田あり。
佐梨川流域
芋川沢右俣下降・左俣遡行2024/11/3 体1攀1悪3藪3水2★5
直登できない滝と、そこそこ悪い巻きが続く小粒でもピリ辛な沢。いわゆる”魚沼の里山”という概念を理解できる。
魚野川流域
仁田川中俣下降・右俣遡行2025/11/15 体1攀2悪3藪2水2★3
小さな沢だが、滝一つひとつがいちいち面倒くさく登りごたえがある。半日の沢トレに使えそう。
破間川流域
大深沢川右俣遡行~左俣下降2025/11/16 体2攀2悪5藪3水2★7
魚沼の里山のダークでディープな一面を体現したような渓相。真っ黒く歪な岩が両岸迫り出した激せまゴルジュを楽しめる。高巻きはかなり癖強め。
羽根川流域
 深道川大深沢遡行2026/9/20 体2攀3悪3藪3水2★6
花崗岩アスレチック。最初は苔むしたプチザクロ谷風の渓相に感動するが、後半は一癖ある滝が飽きる程続く。ぜひ下部から上部まで一続きで遊ぶべき沢だ。